有明海地域共同観測プロジェクト
成果報告シンポジウム

有明海地域共同観測プロジェクト(COMPAS)は,有明海の沿岸域にある⼤学が連携し,それぞれの研究機関が もっている知識や技術を集結して調査研究を行うプロジェクトです。ここでは2015年3月28日に開催した成果 報告シンポジウムの様子をご紹介します。

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【概要】

有明海では、赤潮の増加や貧酸素水塊の発生など、環境異変が問題になっており、漁獲量の減少と相まって社会問題化しています。また、有明海には多くの固有種・準固有種の生息が知られており、生物多様性保全の面からも、それらの生息環境の再生が危急の課題となっています。一方、平成25年12月には福岡高裁において中長期開門の実施を命じる判決が確定し、様々な議論がある中で、地元地域では開門の科学的評価・分かりやすい説明が強く望まれています。また、開門による環境改善効果の程度にかかわらず、有明海の環境異変は10年以上続いており、有明海の環境変動機構の解明と実効性ある再生策の必要性は極めて高いといえます。
こうした背景をふまえ、有明海地域共同観測プロジェクト(COMPAS)では、有明海の環境異変問題・諌早干拓問題の解決に資することを目的として、佐賀大学がハブとなって有明海沿岸の4大学が連携し、それぞれの持つ知識・技術を結集して調査・解析を行っています。さらに、研究結果を分かりやすく市民・行政に伝え、また、大学の知の集積・技術を生かして有明海再生に向けた地域の活動支援を実施しています。 さて、COMPASも2年が経過し、その活動の中で様々なことが明らかになってきました。そこで、下記の通りシンポジウムを開催し、これまでの成果を報告するとともに、今後のCOMPASのあり方や有明海研究の将来についての議論を行いました。

【開催日時・場所】

2015年3月28日13時~17時
佐賀大学理工学部6号館2F多目的セミナー室

【プログラム】

13:00~13:10 開会挨拶: 中島晃 (佐賀大学 研究・国際・社会貢献担当理事)
13:10~13:20 背景・趣旨説明 : 速水祐一(佐賀大学低平地沿岸海域研究センター)
13:20~15:20 成果報告(各タイトルは下記の通り)
15:20~15:50 休憩・ポスターセッション
15:50~16:20 特別講演「近未来の沿岸海洋学における社会貢献のかたち」磯辺篤彦(九州大学応用力学研究所)
16:20~17:20 パネルディスカッション 「有明海研究の今後の展望について」
17:20~17:30 総括・閉会挨拶

【成果報告口頭発表のタイトル】

1. 有明海・諫早湾のモニタリング(40分)

  • (ア) 生態系モニタリング : 木村圭、吉野健児(佐賀大学低平地沿岸海域研究センター)
  • (イ) 有明海における貧酸素および広域的な沿岸水温・塩分変動に関する研究 : 速水祐一(佐賀大学低平地沿岸海域研究センター)

2. 諌早湾を中心とした環境変化の解明と環境再生策検討(30分)

  • (ア) 潮流の連続観測とデータ解析 : 小松利光(九州大学工学研究院)
  • (イ) 調整池内の水質特性 : 松永信博(九州大学総合理工学研究院)

3. 化学・微生物学的アプローチによる有明海の広域物質循環研究 梅澤有(長崎大学水産・環境科学総合研究科)(20分)

4. 数値モデルによる諌早湾開門の影響評価・再生策検討(30分)

  • (ア) 諌早湾干拓事業が諌早湾および有明海奥部に及ぼした影響について 濱田孝治(佐賀大学低平地沿岸海域研究センター)
  • (イ) 有明海冷水ドームのDO濃度変動要因 山口創一(九州大学総合理工学研究院)



【ポスターによる成果報告】

タイトル 発表者 所属
有明海諫早湾における残差流の変動要因 大庭卓也1)、田井明2)、矢野真一郎1)、小松利光1)、速水祐一3)、多田彰秀4) 1)九州大学大学院、2)九州大学高等研究院、3)佐賀大学低平地沿岸海域研究センター4)長崎大学大学院
全球を対象とした半日周期潮汐振幅の長期変化特性について 田中香1)、田井明2) 1)九州大学大学院、2)九州大学高等研究院
有明海諫早湾内における懸濁物質の特性について 吉武竜馬1)、押川英夫2)、田井明3)、速水祐一4) 1)九州大学工学部2)九州大学大学院3)九州大学高等研究院4)佐賀大学低平地沿岸海域研究センター
有明海における貧酸素の長期変化 速水祐一1)、木元克則2)、徳永貴久2) 1)佐賀大学低平地沿岸海域研究センター、2)水産総合研究センター西海区水産研究所
有明海冷水ドームのDO濃度変動要因 山口創一1)、速水祐一2)、佐藤慶晴3) 1)九州大学大学院総合理工学研究院、2)佐賀大学低平地沿岸海域研究センター、3)九州大学大学院総合理工学府
リモートセンシングによる植物プランクトン分布変動の解析 新井康平1)、片野俊也2)、濱田孝治3) 1)佐賀大学理工学部2)東京海洋大学海洋環境学部門3)佐賀大学低平地沿岸海域研究センター
諌早湾干拓調整池排水と有明海奥部の赤潮の関係 濱田孝治1)、片野俊也2)、吉野健児1) 、藤井直紀1)、速水祐一1) 1)佐賀大学低平地沿岸海域研究センター、2)東京海洋大学海洋科学部
バルクとアミノ酸の安定同位体比分析を組み合わせた有明海及び 大村湾個体群のスナメリの摂餌生態解析 後藤洋加1)、梅澤有1)、天野雅男1)、山口敦子1)、陀安一郎2)、由水千景2)、加藤義和3)、原田一孝4)、石橋敏章4) 1)長崎大 水産、環境科学総合研究科、2) 総合地球環境学研究所、3)京都大学生態学研究センター、4)下関市立しものせき水族館
夏季の有明海における栄養塩と懸濁、溶存態有機物の動態 尾﨑 健史1)、梅澤 有1)、山口 聖1)、野崎 龍1)、 森井康宏1)、 山脇信博1) 1)長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科
有明海の夏季の赤潮原因藻類Chattonella marinaとAkashiwo sanguineaの関係 片野俊也1,2)、吉野健児2)、伊藤祐二2,3)、速水祐一2) 1)東京海洋大学大学院、2)佐賀大学低平地沿岸海域研究センター、3)鹿児島大学農学部
長崎に流れ着くゴミのいろいろ 尾崎健史 長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科
有明海奥部における2013 年、2014 年のミズクラゲ出現状況 藤井直紀1)、吉野健児1)、片野俊也2)、速水祐一1) 1)佐賀大学低平地沿岸海域研究センター、2)東京海洋大学海洋環境学部門
再び、アジェンダ、セッティングのズレについて 樫澤秀木 佐賀大学経済学部
高校生の赤潮についての認識と実態のずれ 嶋田祐大1) 、片野俊也2) 田中祐志 3) 1)東京海洋大学海洋科学部、2)東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科、3)東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科
地域連携による有明海科学イベントの試み 藤井直紀 佐賀大学低平地沿岸海域研究センター
諫早湾の干拓調整池からの排水が諫早湾の水質に与える影響評価 小森田智大1)、梅原亮2)、田井明3)、折田亮4)、高橋徹5)、堤裕昭1) 1) 熊本県立大学環境共生学部、2) 広島大学環境安全センター、3) 九州大学高等研究院、4) 熊本県立大学大学院環境共生学研究科、5) 熊本保健科学大学
諫早湾及び潮受け堤防内調整池における底泥の栄養塩濃度の季節変化 郡山益実1) ,片野俊也2),吉野健児3) , 西山修司4),山本敦士5),中村紀弓佳6) 1)佐賀大学全学教育機構、2)東京海洋大学、3)佐賀大学低平地沿岸海域研究センター、4)佐賀大学農学研究科、5)佐賀大学農学部、6)田島興産株式会社



【参加者集計】

分類 人数 比率
大学 22 39%
一般 12 21%
行政 8 14%
企業 6 11%
独立行政法人 1 2%
マスコミ 1 2%
NPO 1 2%
その他 5 9%
合計 56 100%