about studies



・有明海再生に関する研究
・地域資源を活用した軟弱地盤盛土工法に関する研究
・地盤遺構の調査・保存技術に関する研究
・廃棄物処分場における遮水システムに関する研究
・低平地地盤環境情報データベース構築に関する研究



■ 有明海再生に関する研究


近年,有明海では海苔の色落ち・漁獲量の減少等の漁業被害が発生している.過去30年の漁獲量の推移をみると,ムツゴロウ・カキ漁獲量の減少が始まる時期は,海苔養殖業で酸処理剤が使用され始めた時期と重なり,また,アゲマキ漁獲量の減少が始まる時期は,諫早干拓潮受け堤防建設の開始時期と重なっている.漁獲量の減少には,酸処理剤の使用や堤防建設工事などの他,地球温暖化などの地球規模の現象や,有明海干満差の減少など様々な要因が複雑に関係しているため,その原因を特定することは非常に難しい.一方で,魚貝類の生息土壌である底質については,その黒色化,硫化水素臭の発生,さらに底質の環境変化に起因する海水の透明化といった底質環境の変化に関する指摘もなされている.当研究室では底質の悪化に着目して,底質の現状調査,漁獲量減少との因果関係の分析,さらに底質環境の改善技術に関する研究を行っている.


■ 地域資源を活用した軟弱地盤盛土工法に関する研究


有明海沿岸地域には,極めて軟らかい有明粘土が厚く堆積している.このような地盤上に構築される道路盛土等の安定性を確保するためには,圧密促進や安定処理等を施す必要がある.近年では,公共事業におけるコスト縮減と環境保全が大きく叫ばれており,環境にやさしく,かつ要求される機能を維持してゆくトータルローコスト技術の開発が望まれている.佐賀県内の山間部では,間伐を行い森林整備を行う必要があるものの,間伐材の利用先がほとんど無いため,ほとんど整備されていない状態が続いている.一方,有明海に面する河口域や漁港では,潮流や潮汐によって堆積した底泥を浚渫する必要があるが,有効な用途がないために廃棄処分されてたり,浚渫が行われていない状態である.当研究室では,地域環境を整備しながら道路建設をを行って行くために,有明海沿岸域の余剰資源となる間伐材を有効利用した基礎工法の開発と,浚渫土を利用した盛土材料の開発に関する研究を行っている.


■ 地盤遺構の調査・保存技術に関する研究



福岡県太宰府市に残る"水城"に見られるような,非常に長い年月が経った今でも当時の姿で健在している歴史的地盤構造物には,現代にも十分に適用できる多くの技術が駆使されており,当時の技術者の技術力の高さを窺知ることができる.このような地盤遺構は,歴史的価値と文化教育的価値より整備保存されることが多く,風化や劣化に対して適切な処置を施す必要があるが,強化・保存技術が確立されていないのが現状である.当研究室では,地盤遺構の地盤工学的調査,ならびに地盤改良技術や補強技術を活用した地盤遺構の保存技術の開発を行っている.


■ 廃棄物処分場における遮水システムに関する研究



我が国における廃棄物処分場の遮水工構造基準では,遮水工材として粘土のような低透水性の土質材料と遮水シートを用いることとなっているが,人工材料である遮水シートに遮水効果を期待するところが大きく,万が一遮水シートが破損した場合には,汚染物質が漏出する危険性がある.処分場内から汚染物質の漏出を防ぐには,遮水工によって処分場内からの汚染物質漏出を遮断する一方で,処分場表面を低透水性の材料で覆うカバー層を設置して雨水等の浸入をできる限り防ぎ,処分場内の地下水位を適切な水位に保つ必要がある.当研究室では,土質材料の高い吸着性能を利用した土質遮閉層と,水頭差を利用して汚染物質の漏出を防ぐ水封ドレーン層を設置する土質遮閉・水封型埋立処分場システムの構想を提案し,九州特殊土の土質遮閉層ならびにカバー層としての適用性に関する研究を行っている.


■ 低平地地盤環境情報データベースの構築に関する研究


有明海沿岸低平地における防災計画の策定と防災対策の検討に寄与するため,地盤情報データベースと地理情報データベースとを連携させた低平地防災支援システムを構築し,地震時における液状化発生地域の予測や家屋倒壊,火災延焼等の被害予測,さらには,佐賀市内の道路橋の耐震度評価と道路網の被害予測を行っている.地震による被害の規模は,対象地域の地盤構造,地形,建物構造,土地利用状況等の地理的・社会的環境に深く関わっており,大規模地震を想定した総合的な防災計画の策定にはこれらの地域特性を考慮した被害予測及び防災対策の検討が必要となる.低平地防災支援システムは,ボーリングデータ,現位置試験結果,土質試験結果等のデータからなる地盤情報データベース(DIG)と,地形図,土地利用図,人口データ等からなる地理情報データベース(GIS)により構成され,これらを連動させることによって,広域かつ立体的な被害予測と防災対策の検討が可能となる.
さらに,低平地防災支援システムの新たな利用分野を確立するため,これまで継続的に構築されてきた低平地防災支援システムに,新たに地盤環境に関する情報の追加や設計に関する情報の空間推定を行うことができる機能を付加した「有明海湾岸地域の総合的データベース(有明湾岸地盤環境情報データベース)」の構築に向けた検討い,環境評価指標の選定および設計パラメータの空間推定を行っている


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