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 日本学術振興会「平成20年度ひらめき☆ときめきサイエンス
 〜ようこそ大学の研究室へ〜KAKENHI」報告






ひらめき☆ときめきサイエンス〜ようこそ大学の研究室へ〜KAKENHI
ポスター


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■機関名:佐賀大学(17201)

■整理番号:HT20149

■実施担当者

田口岳志(代表者)
佐賀大学低平地研究センター・非常勤博士研究員)
日野剛徳
佐賀大学低平地研究センター・准教授)
荒木 宏之
佐賀大学低平地研究センター・センター長・教授)

■開催日:平成20年8月20日(水)

■開催開場:佐賀大学理工学部6号館DC棟2階多目的セミナー室およびホール

■プログラムのテーマ名:

佐賀の有明粘土で道づくり〜がばい考えんば!〜

■対象者:小学校5、6年生 42名

■プログラムのねらい:

 本プログラムのねらいは、小学生に未来の科学者を目指させる前に、「小学生たちに“わかる喜び知る楽しさ”を感じさせ、日々の義務教育課程における学習意欲を向上させること」にある。私自身、小学生時代には大学とはどういう場所なのか?何をするところなのか?まったく想像できなかった。また、日々の国語・算数・理科・社会などの勉強が後の社会生活の何に役に立つのか?何故、勉強しろ勉強しろと親に言われるのか?これらの疑問に明確な答えを見いだせなかった。これらのことを教訓として、過去の自分が出会いたかったプログラム・人物起用を計画した。

■プログラムのねらいを達成するために留意、工夫した点:

 ねらい達成のための留意点は42名の児童をまとめることであり、工夫した点は42名の児童を6班に分け、各班に班長として本学の学生を配置したことである。
 ひらめき☆ときめきプログラムの過去の実績や本学で開催された公開授業を分析した結果、小学生を対象にした場合や複学年の合同開催は混乱を生じやすいことがわかった。したがって、42名の児童をスムーズに誘導し、プログラムを遂行することを目的に1〜6班まで班分けし、各班に班長(大学院生および学部生)をあてた。班長としての学生は、日常の研究活動においてもひときわ責任感の強いタイプかつ他人の心を察し行動できる者とした。その結果、講演会を除く2つの実験およびマップ上での道づくりでは、各班長がそのつど的確な指示を出し、児童たちは「班長!班っ長〜!」と兄姉のごとく慕ってくれた。さらには、班長6人は巧みな連携を独自に発揮し、児童の笑顔が最大となるように努力してくれた。以上こそが、本プログラム成功の最大の要因と言えよう。

■児童生徒の自ら学ぶ意欲、興味をひくために留意、工夫した点:

 本プログラムでは4m四方の有明海沿岸マップに粘土で細工することがメインだが、その前にマップが児童にとって身近なものであることを認識させたかった。そこで家の模型を自分の住む個所に設置させ、それぞれの児童が自分の生活する場と有明海との間の位置的関係を確認させた。
 道づくりにおいては、有明海沿岸を囲む概略な道路線形はマップ上に描いていたものの、その他の新路線開発や道路の景観性を考慮した飾り付けなどは児童の自主・創造に委ねることとした。

■当日のスケジュール:

10:20〜10:30
あいさつ(先生・学生の紹介、科研費について説明)

10:30〜11:30
有明粘土で道づくり(粘土細工)

11:30〜12:30
食事(大学食堂で大学生と一緒に)

12:30〜14:40
有明粘土で道づくり(絵具や模型を使って工夫する)
※ 道づくりの途中で班ごとに実験(土の強さを調べる実験)と観察(土を電子顕微鏡で観察する)を行います.班長さんに従って下さい。

14:40〜15:30
日野剛徳先生のお話(有明海の不思議な話)

15:30〜16:00
未来博士号授与式

■実施の様子:

写真−1、2 42名の参加者(佐賀市・小城市の22校から小学5、6年生が集結!一日のスケジュールや各班の班長が紹介され、本事業推進委員会委員の佐藤達哉委員(立命館大学・文学部・教授)より本プログラムの趣旨が説明された。その後、実施担当代表者によりテキストを用いた簡易授業を行い、社会資本整備における健全かつ効率的な土木事業の骨組をレクチャー。

写真−3〜6 いざマップ上に乗込み、道づくり開始!有明粘土を手にした児童たちは水を得た魚(!?)各班に用意した装飾資材は瞬く間に彼らの“創造ひらめき作品”へと生まれ変わった。特に目を引いたのは、「花咲き乱れる夢の道」や「有明海横断道路」などであり、これは彼らが独自の視点から造りあげたものである。地域の都市開発にはほど遠いかもしれないが、彼らなりに考えて造り上げた未来都市は、指導者・新聞記者・保護者の目を奪うものとなった。

写真−7〜9 アンケート集計によれば、「学生食堂で食事したのが一番楽しかった」という児童もいた。私の企画が学食に負けたか...と思いつつも、彼らの笑顔はプログラム開始時から見送りの時まで途絶えることはなかった。

写真−10〜13 ねらい達成のための工夫の項でも述べたが、とにかく本プログラムの成功は、本学学生の協力抜きでは考えられない。彼らは夏休み返上で準備に勤しみ自らが本校にて感じた“わかる楽しさ知る喜び”を伝えることに尽力してくれた。日々の研究活動に加え、空き時間は全て準備作業となり、多忙を極めた。しかし、プログラム終了後に彼らは「貴重な体験をさせて頂きありがたい」、「たいへんだったが自分も成長できた」、と嬉しい言葉をかけてくれた。
 午後のプログラムは基本的には道づくりを継続させ、1班づつ抜き打ちで2つの実験・観察を行った。土質実験の中で最も汎用的な一軸圧縮試験(写真−11)、土の骨格構造を調べる走査型電子顕微鏡観察(写真−12、13)いずれも指導者として、これを専門として研究する学生をあてたのだが、これまた采配は的中する。彼らは装置の使用方法や得られる結果が何を意味するかについて解り易い説明を展開した。ここで、本学学生が装置の使用方法や結果の整理法を習得したのはここ1、2年のことであり、“わかる喜び知る楽しさ”は彼ら自身が最近感じたものである。すわなち、その新鮮な感情が小学生の“ひらめき☆ときめき”を引き出す絶好の条件であったと考えている。実際、写真中で興味津々な表情を浮かべる児童がそれを証明してくれた。

写真−14、15 プログラム終盤では、日野准教授による特別講演を実施した。内容は海面変動の話から佐賀平野の成り立ちまで幅広くかつわかりやすい小学生向けに編集したものであった。児童たちも興味深く聞き入り、見学にこられた父兄からも高い評価を得ることができた。

写真−16、17 最後に本プログラムのフィナーレとなる未来博士号授与式が厳格かつ和やかに行われた。この企画は(独)日本学術振興会から義務付けられたものであったため、「こんなに固い終わり方で良いのだろうか」と半信半疑のまま行うことになった。しかし実際は違った。学位授与という名誉およびその達成感からか、児童たちは一同に緊張の面持ちとなり、低平地研究センター・センター長の荒木教授から学位記を授与されると、満面の笑みを浮かべた。教員・学生スタッフ皆が、「あぁ〜この事業に取り組んで良かった」と感じた一瞬であった。

 本プログラムの最後に私は一つのメッセージを児童達に贈った。「これから続く君たちの人生は1本の道だ。大人になって子を育て、爺ちゃん婆ちゃんになるまで続く長い道。でもその道は今日みんなが有明粘土で作った佐賀の道と同じだ。みんなと話し合い、みんなを笑顔にする道...そんな道をこれからも創り続けてほしい。」 再度記述するのも恥ずかしい言葉であるが、私はこれを伝えたかった。

 本プログラムを遂行するにあたり、想像以上の手間と時間がかかった。またそれは自分以外の先生方・学生スタッフ・大学経理および事務の方々にもである。私は児童や保護者から帰ってきた感謝の手紙・メールをできる限り皆さんに伝えた。下記の写真もそのときに多くの関係者にメール転送したものである。私自身、今後も笑顔の道を創り続けていきたい。

■今後の発展性、課題:

 プログラム終了時、「次の開催はいつ?」、「来年も呼んでくれ」、「中学生になっても呼んでくれ」という児童が多くいた。さらには、アンケートを同封した返信封筒に、びっしりと楽しかった旨の感想文が書いてあり、その裏には母親から「いくつかのプログラムを経験させたが、最も子供が楽しそうだった」、「子供の勉学に対する姿勢が変わった」、など多くの好評をいただいた。したがって、今後の目標は本プログラムをより発展させ、次年度も開催することこそが課題となった。佐賀大学ではひらめき☆ときめきサイエンスは初の試みであったらしく、30名の募集に対し、60名の応募があった。なんとか42名の定員に拡大し、それ以降は施設の問題や取りまとめの問題からお断りすることとなった。地域がこのようなプログラムを強く求めていることがわかった以上、需要に見合った供給をすることが本学に課された課題と言えよう。

田口岳志 記
みんな!集まれ♪
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