平成14年度卒業研究発表会 概要集より


音響底質探査装置を用いた有明海底質の堆積調査

五十住一人

1.はじめに

本研究では,有明海の広域にわたる底質の堆積状況を把握することを目的としている.しかし,対象海域の干満差は最大約6m,北緯33°以北の湾奥部に限ってもその面積約400km2であり,調査研究が容易でない.本報では,音響底質探査装置を導入して有明海底質の堆積調査に取り組んだ結果について述べる.

2.音響底質探査装置の概要

本装置は,小型・可搬式により小型船舶での計測が可能であり,計測には200kHzおよび24kHzの2種類の送受波器を用いた.200kHz送受波器から送信された超音波は,密度1.14g/cm3の堆積物に反射されて受信され,24kHzの場合は密度1.27g/cm3の堆積物に反射されて受信される.

3.調査・解析方法

調査に際し,図−1に示す有明海湾奥部上に3km間隔のトランセクト線を設け,計測を行った.収録したデータから,最も反射強度を強く示している点を選び出して鉛直方向の距離を算出し,その値をトランセクト線にそって連ねることにより海底形状を求めた.さらに密度1.14〜1.27g/cm3における底質の層厚を求めた.なお,反射強度の解析においては多数のデータ処理が必要であり,簡単なプログラムを組んで層厚断面作成に供した.

4.有明海底質の堆積状況

図−2は,有明海湾奥部における層厚分布,中央粒径コンターを示したものである.今回の計測結果によれば,筑後川の流入域より沖に向かうライン上,また六角川の流入域より西側の大きな河川の流入がない鹿島沖により多くの底質が堆積していることがうかがえる.中央粒径コンターの観点から見ると,中央粒径が小さい部分でより底質が厚く堆積している傾向にあるのがわかった.

5.まとめ

今回の調査研究では,半年に渡り計測したデータを1つの結果として示しているが,今後は月単位,もしくは季節ごとに計測を行い,底質の堆積変化を比較検討できるようにしたいと考えている.