平成15年度卒業研究発表会 概要集より


非海成粘土の鋭敏性・圧縮性とその微視的特性について

黒木克己

1.研究目的

佐賀低平地に堆積している沖積粘土は,現在では有明海環境で堆積した海成粘土,および河川河口からその上流域における汽水・淡水環境で堆積した非海成粘土に区分して研究を進めている.この内,非海成粘土について不明な点が残されている.本報では,非海成粘土の鋭敏性・圧縮性を調べるとともに,これらの性質と土構造との関連性に関する議論を行う端緒として,圧縮過程における間隙径分布測定と電子顕微鏡観察を行った結果について報告する.

2.堆積環境と鋭敏性・圧縮性

実験に供した非海成粘土は,佐賀県小城郡芦刈町の深さ2m地点より採取した.一連の土質試験結果より,塩濃度とORPの結果では,当該粘土は前述の環境で堆積したものであり,かつ堆積後も大気に触れやすい環境にあることが示されている.ただしこの場合,粘土中に取り込まれた生物起源パイライト(FeS)も酸化され,その結果としてpHは酸性を示すと考えられるが,アルカリ性を示す結果を得ている.電子顕微鏡観察ではパイライトの存在が確認できないので,堆積後の2次的な環境の変化を強く受けた粘土と推定される.液性指数は1.5程度,鋭敏比20〜30程度である.非海成粘土の段階載荷と定ひずみ速度載荷による圧密試験を行った結果,乱さない試料の場合は高い圧縮性を示した.

3.間隙径分布と電子顕微鏡観察


圧縮過程試料を各々約10mmの直方体に切り出し,乾燥を施した後水銀圧入型ポロシメーターによる間隙径分布の測定を行った.図−1に,当該粘土の初期状態における各間隙径分布の占める割合を示す.比較のために,有明,広島両粘土の成果を併記した.各試料ともにメゾポア以上の間隙が全間隙量の50%以上を占めており,1μm以下の各間隙割合もまた,同様の傾向を示している.しかし,非海成粘土を両海成粘土と比べた場合,メゾポア・マクロポアの割合に大きな違いが見られた.電子顕微鏡観察においては,海成粘土で珪藻遺骸とその破砕片が認められたが,非海成粘土の場合は珪藻遺骸がより多く含まれ,かつ原形を留めたものが多いことがうかがえた.このこともメゾポアの割合を高め,e-log p曲線を特徴づける要因の1つとなっている可能性がある.

4.まとめ

本報で得られた知見を要約すると次のようである:1)佐賀低平地における非海成粘土は,当該地域における沖積粘土の観点に照らせば低鋭敏性粘土に区分される;2)ただし,乱さない試料の圧縮指数は2.11であり,高圧縮性である;3)間隙径分布に関する検討を行った結果,メゾポアの割合が極めて高いこと,マクロポアの割合が低いことがわかった;4)非海成粘土には珪藻遺骸が多く含まれ,かつ原形を留めたものが多いことがうかがえた.