平成14年度卒業研究発表会 概要集より


音響底質探査装置における反射強度と底質密度の関係について

丸本大介

1.はじめに

有明海における底質の堆積状況を把握するために,音響底質探査装置を用いて広域的な調査を行っている.底質層厚を判別するには,当該装置と底質との間で送受波される2種類の超音波による反射強度のピーク差を求める必要がある.そこで,有明海において音響底質探査を実施し,同一地点で採取した底質の土質特性を調べ,反射強度との関係について検討した.

2.音響底質探査装置による底質層厚の捉え方と実験方法

音響底質探査装置には200kHzと24kHzの超音波送受波器が取り付けられており,前者は密度1.14g/cm3の堆積物に,後者は1.27g/cm3の堆積物に反射されて受信される.図−1は当該装置を用いて底質を測定した結果である.海面付近におけるピークは船底の気泡ノイズや前後の超音波残響を捉えている可能性が高く,通常は無視する.その下層における両者のピーク差を底質層厚とみなすが,このことについて次節の検討を行う.

3.深水域における底質の土質特性

図−1の調査結果と同一地点で底質を採取した.その後,2cm間隔で試料を押し抜き,土質特性を調査した.底質表層から深さ26cmの間は,液状・超軟弱粘土により欠損を余儀なくされた.ORPについては,プラス値を示す結果を得た.土粒子密度は上層からほぼ2.68g/cm3程度であった.粒度組成の結果から,粘土分が60〜70%を占める泥質状堆積物であった.湿潤密度は,海底下の底質とはいえ1.3g/cm3を超える値を示し,硬い状態にある.また,表層から深さ50〜62cm間でペレット密集層が発見され,その下位63〜73cm間で貝殻の密集層が認められた.

4.音響反射強度と底質密度の関係

図−2は,潜水ボーリング地点における反射強度と湿潤密度の比較である.この地点の湿潤密度は,海底下の底質とはいえいわば硬い状態であり,その上層に両音響反射強度のピーク値が認められる.200kHzのピーク値は幅を有するが,24kHzのピーク値との差を求めた場合の底質層厚は10〜50cmの範囲で得ることができる.欠損した部分の底質層厚の湿潤密度が,図−2にプロットしたものを下回るのは明瞭である.以上のことから,2.で述べた底質層厚の捉え方は,妥当といえる.

5.まとめ

ORPの測定結果から,潜水ボーリング地点の底質は酸化的環境にあり,生物の活動痕跡と考えられるペレットの存在が確認された.音響底質探査装置による底質層厚の捉え方は妥当である.