平成15年度卒業研究発表会 概要集より


有明海湾奥部の港湾・漁港域における
浚渫土の地盤環境工学的性質に関する研究

秋田夕貴

1.研究目的

本研究は,港湾・漁港域を対象に本来の機能が失われないように浚渫を行い,この土を道路材料として有効利用することを目的としている.

2.港湾・漁港域における浚渫土量の試算

有明海湾奥部には漁港・港湾が計31ヶ所あり,総面積を求めると約1,800万m2である.総面積に対して深さ1mの浚渫を行った場合,約1,800万m3の浚渫土が生じる.幅18.5m,高さ5.5m,1.8勾配の盛土を想定して造成する場合,物理・化学改良により実際の容量が1/2に減少することを見込んでも,約55km分の量を補えることになる..

3.浚渫土の原位置特性と室内試験

コーン貫入試験を行った結果,対象地域の地層は均質な粘土分で構成されていることがわかった.図-1,2に両地域の室内試験結果を示す.土質試験の結果から,諸富漁港は液性指数IL≒1,鋭敏比St≒4.2,福所江漁港はIL>1,St≒2.5を示す結果を得た.両地域の塩濃度は6~8g/Lである.また,酸化還元電位の結果から,両地域の浚渫土はともに強還元状態にある.

4.化学改良した場合の浚渫土の特性

図-3,4は,添加材と養生日数ごとのquとその強度発現を表したものであり,試料の採取時期,添加材の種類と量の違いによるquと強度発現に違いが認められた.両地域の結果にかくも違いが認められる原因として,前述した基礎的性質による違いが考えられる.諸富地域の場合は,改良材の添加にともなう強度発現要因の含有に乏しい反面,石こうが早期にエトリンガイトを生じせしめてその強さを満足させた.福所江地域については強度発現要因を多く含むものであり,このことが改良材の種類を問わない結果を生じせしめた,などのことを推定させる.

5.環境試験

採取したばかりの浚渫土と添加材を加え養生28日を経たものについて溶出試験を行った.今回の試験では,いずれの浚渫土も環境基準値を上回るような物質は検出されなかった.

6.まとめ

今回の試験結果によって,改良次第で各種道路材料として転用できる可能性が見出された.環境試験については,沿岸道路事業における材料の保管・管理・運用方法と密接に関係しているので,今後これらのことを想定した検討が必要である.